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heartwarming communication
第26回『それが大事』

健康学習2011 VOL.23-2 by CEO@淺田 匡彦


 

負けない事・投げ出さない事・逃げ出さない事・信じ抜く事
駄目になりそうな時 それが一番大事
負けない事・投げ出さない事・逃げ出さない事・信じ抜く事
涙見せてもみせてもいいよ それを忘れなければ ♪

TVから懐かしい歌が流れていた。
調べてみると、ちょうど20年前の歌だそうだ。

平成7年2月にボクは、勤務していた歯科医院を退職した。
4月からの開業に向けての準備があったからだ。
歯科医院での送別会は後日に予定されていたが、仕事仲間が有志で集りボクの友人を交えた特別な送別会を退職するその日に開いてくれた。
送別会の後の2次会がカラオケボックス。そこの最後にみんなで大合唱して歌ってくれたのが、この歌だった。
「これからきっと大変な事がいっぱいあるよ。そこから逃げたくなる事や、諦めたくなる事がきっと何度もやって来る。その時に、この歌を思い出してほしい」 選曲した友人が、そうコメントを添えてくれた。
確かにそれからの16年は正に波乱万丈で、辛くて諦めたい事がたくさんやって来た(楽しい事もたくさんあったけれど)。そしてその都度、ボクはこの歌を口ずさんだ。 人は、自分で限界を勝手に作って諦めてしまう事は無いだろうか?
「出来ないよね」 「私には無理」 「わかってはいるんだけど」
実は、冒頭でえらそうな事を書きながら、ボクもフッと頭を掠める事は多々ある。
そして一番怖いのは、諦めてしまった自分に気付かないこと。 自転車を始めた頃に、ボクは自分のペースで走るのが好きだった。100km走った時は、一つの壁を越えた気がした。200kmを走った時は、「どうだ!」と誇らしく思った。 しかし、上には上がいる。
自転車仲間のM君は、1日に500km走る。そして、35〜40km/hのスピードで常に走っている。
「彼は特別だ・・・」そうボクは思った。そして、その瞬間にボクは諦めていた。
そして、そう思っているボクを他所に、彼はボクを彼の世界に引きずり込もうとした。
「大阪から嵐山まで一緒に走りましょう!」
そういう誘いをボクはことごとくかいくくぐり、難を逃れていた。しかし、何時までも言い訳が出来るわけではなくて、やはり彼と走らざるを得ない時が来た。
大阪の日本橋(大阪は「にっぽんばし」と発音する)に集合し、中間地点の枚方まで走る。が、ほぼ40km/hでの走行。これはきつい。車と同じスピードだ。信号に近付くと「赤になってくれ!」と祈るばかりだった。というのは、信号は守るから。
しかし、そのスピードで大阪から枚方までの約20kmは正直辛かった。
走りながら何度も、もどしては飲み込んだ(汚くてごめんなさい)。
そんな時に、ボクは『それが大事』を頭の中で歌っていた。
枚方に着いたとき、ボクは他の仲間からその驚異となるスピード走行を讃えてもらった。
カメラもそうだった。「これがカメラの限界だよね。これ以上のものは、カメラでは無理。まぁ、プロのカメラマンだったら撮れるかもしれないけど、アマチュアならこんなもんだろうな」と思っていた。そして、いつしかカメラを手にしなくなった。
しかし、師匠となるプロカメラマンと出会い、その考えは変わった。
目の前で綺麗な写真を見せられる。自分は撮れない。それは悔しい。
後日に同じ場所に行き、撮影するがやはり撮れない。
師匠の顔が目に浮かぶ。「くそ!」
高い位置から、低い位置から、右から、左から、色々と工夫しながら露出も変えて、何枚も撮影した。何とか師匠に近付きたい!何枚撮影しても駄目で、諦めたくなった。
「やっぱり無理だ」と思った。
しかし、その時に頭の中で流れ出したのは『それが大事』だった。
何回も何回もシャッターを切り、モニターで確認し、又シャッターを切る。頭の中で歌う。繰り返しているうちに、少しずつ理想の写真に近付いている事に気付いた。 師匠にその作品をメールで送った。
「良くなったね!良い写真になってきたよ」
諦めずに頑張る。それによって、なりたい自分に近付くことを教わった。
しかし、今から考えると、本当は、もっと早い段階でそれに気付くべきだった。
自転車の「彼は特別だ・・・」と思った瞬間。
カメラで、「これがカメラの限界だよね。これ以上のものは、カメラでは無理。まぁ、プロのカメラマンだったら撮れるかもしれないけど、アマチュアならこんなもんだろうな」と思った瞬間。
実は、この時に諦める事無く続けるべきだったのかもしれない。
しかし、それでも良い。きっと、その時は自転車もカメラも離れたかったのだろう。
けれど、その後に諦めずに出来たのだから、それは良しとしよう。

健康学習の研修会や学会などに出ていると、グループワークの中で「出来たら良いのはわかるけど、無理」とか、「石川先生だから」というような声を時々耳にする。
ボクは、「勿体無いなぁ」と思う。やってから諦めても良いのにな、と。
実際、ボクも健康学習を学び始めた頃に何度も挫折しかけた。
良いモノ≠セとわかったから、実際に患児の保護者にTryした。
しかし、木っ端微塵に砕け散る。
「あれは、雄一先生だから出来るんだ」と、何度も思った。
その都度、「負けない事・・・」と何度も口ずさんだ。正に、七転び八起きだったと思う。そして、徐々に保護者の反応が変わってきた手応えを感じていった。
きっと、みんなそんなものだろう。
最初から出来るのは、雄一先生くらいかもしれない。
それで良い。自分で決めた壁に負けない事、辛くても投げ出さない事、やりかけた事から逃げ出さない事、そして、自分を信じ抜く事。これらがきっと大事なんだろう。
しかし、人間はそんなに強くない。時には負けてしまい、投げ出し、逃げ、信じられなくなり、離れていく事もあるだろう。
でも、少し距離を置いて、やりたくなったら又始めれば良い。
ボクの自転車やカメラのように。
そしてその時に負けない事・投げ出さない事・逃げ出さない事・信じ抜く事を頑張って欲しいと思う。
その先にはきっと、『なりたい自分が待っているから』

「院長、そろそろ院長室を片付けてくださいね!昨年末の大掃除でせっかく綺麗になったのに、又汚くなっていますよ!」
この原稿を書いていると、チーフスタッフがボクに言った。
「うん、ボクは散らかし上手やけど、片付け下手だからしゃーないねん」 と言ったところで、この原稿が目に入った。
いかんいかん、自分で書いていて又もや自ら諦める事に気付かないところだった。
「けど、頑張って片付けるからね!」 と、間髪入れずに言葉を続けたつもりだが、
チーフはニヤッと笑った。やっぱり、ばれるわな・・・。

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