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LEC壱章 /文責:淺田

 


『大阪前夜の伏線』

山本さんから電話があったのは大宮にいくよりも以前の事だった。
「淺田先生、9月15日は空いてる?」と、携帯の向こうから声が聞こえた。
「空いてますよ…」と答えたが何故? という思いが強かった。
更に電話の受話器から声がする。
「あのね、今ね石川先生と一緒にいるんだけど、大阪で「健康学習」の研修会を開いてもらおうと思っているのよ。それで、淺田先生、今度大宮に行くけど、その後にも参加してもらった方が良いと思って…」
ラッキー!良い話だ。乗った乗った!雄一先生に会えるぞ!と思い、大宮では どれくらい話が出来るか不安だったので飛びついた。
「で、懇親会はあるの?」と僕は聞く。
「したかったら頼むよ」という応え。
そりゃお願いしますよ!という事で、話はとんとん拍子に進んだ。

その時の山本さんの感想は…
「大宮参加で『健康学習』を体験して貰っても、1ヶ月経つとなんだったんろう?と熱が醒める、あるいは、実際にもっと知りたいと思う頃なんですよね。 淺田先生がどっちに転ぶかは一種のかけだったんですよ。私自身、そろそろゆっくり石川先生と話す機会も欲しかったこともあり、少人数での懇親会にさせて頂きました。まあ、ちょっとは淺田先生方を「だし」に使わせて頂いた部分もなきにしもあらず (笑)
 
さて、懇親会までに僕の中では頭の中がカチャカチャと計算機が発動する。
大宮に直接行き、雄一先生に感銘を受け、色んな考えが浮かんだのは事実だ。
友人からはMr企画マンと呼ばれているこのフットワークを使わない手は無い。
実際に大宮では健康学習学会の参加者、300人中、歯科医師が4人、歯科衛生士が2人という少人数だった。「これではいけない!」という気持ちが先に立ち、「歯科にもっと健康という概念を広げなければならない!」という使命感に捉われてしまった。
「中村先生、ちょっと相談があるんだけど…」という切り口から、それまでに健康学習について、熱く語っておいた中村先生に話しかけた。
「実は、歯科界に健康学習を広めなければならないと思うんだけど…」
中村先生はきょとんとして見てくれている。
「一つはな、診療室で如何に健康学習を浸透させていくか、そして、どう取り入れて行けば良いのかを石川先生にアドバイスしてもらいながら確立して行きたいけど、それを頼もうと思うねん。もう一つは小児歯科学会に近畿地方会ってあるやんか。あんなんで健康学習学会近畿地方会みたいなのを石川先生に作って貰おうと思ってるんだけど、もしも、もしOK出たら手伝ってくれるか?」。それまで2人で熱く?健康学習?について語りあって来ていた事もあってか、中村先生は快く受諾してくれた。が、内心はどうだったのかは僕には知る
由も無いが…
「歯科界と健康学習...!」おっ!これは良いな。いやいやこれは必要だなと僕は直感した。歯科において健康学習を積極的に浸透させれば、きっと今よりも来院者との絆は太くなる、そうすればそこに信頼関係を確立する事も出来るではないか。これこそ、これからの歯科医療に携わる者に必要な要素では無いかと確信したのであった。
「是非ともやりたい!」
 
さてさて、当日の14日、大阪研修会前夜祭。雄一先生との2次会で僕はそれまで我慢していた口を開いた。その内容は・・・
1. 歯科の診療室で健康学習の概念を、技法を活かして行きたいが、どのようにすれば良いのかが解らない。よって、それをサポートして欲しい。
2.健康学習は絶対に医療に広めねばならない。勉強したいが、大宮までは行く事が出来ないという人もいるだろう。そういう人の為に関西でも定期的に活動をして欲しい。その為なら幾らでもお手伝いをするつもりである。
という2点についてお願いした。

1に関しては協力してくれるであろうという自信はあった。そして、結果はやはり予想通りの答えを戴いた。
しかし、2は僕の予想をはるかに超えた! いや、超越した答えが返って来たのだった。
「先生、同じやるのなら自分で会を作ったらどう?地方会なんてしてたら何時まで経っても石川の下から抜け出せないよ。最初は石川色が強く出るかもしれないけど、必ず先生を成長させて一人立ち出来る様にするから。そして、何年か経ったら石川と一緒に仕事をしましょうよ!」というものだった。
想像していない返事に戸惑ってしまった。そして、雄一先生の懐の深さに感動した一瞬だった。そして、硬い握手をし、船出をする決心をした。
そう、この場に居合わせた、山本さん、大橋先生、中村先生と共に、頑張ってみようかと。この時に3人はどういう気持ちで聞いていたのか?

それはこうだ。
 
いつかは健康学習中心で食べていけたら・・・と、思っていました。でも一人ではやっていけない私。石川先生の所では無理だけど、これで自分の居場所ができるかなと思いましたね。淺田先生が会の発足まで考えているとは思っていませんでしたが、その淺田先生の言葉に対しての石川先生の答は予想していた通りです。「一緒にやろう!」と石川先生に言われて何年経ったかな? めっちゃ、嬉しかったです。
石川先生は自主的に健康学習を研修する場が関西にも必要だと真剣に考えていてくれている様子であった。それにはこのタイミングで淺田先生の熱い思いが是非とも必要であった。やはり、健康学習って素晴らしいものだ。いやいやこれからの歯科界、ひいては医療界にもっともっと取りれるべき物ではなかろうか。石川先生と初めてお会いしたが、凄くパワーを感じる。何だこれは?心の底から元気が沸いてくるようだー! これを日々接している来院者の方々に伝える事が出来たらどんなに素晴らしいだろう…。その為にも、また自分自身の為にもこの会を成功させたいと言う気持ちで溢れる中村の心であった。
 
新たな気持ちで決意を固め、明日に備えて雄一先生はホテルへと向かった。
タクシー乗り場まで山本さんが送ってくれるそうだ。僕はと言えば…感動覚めやらぬ気持ちを抑える事が出来ず、もう一軒飲みに行く事とした。大橋先生、中村先生と一緒に。そこでも3人での話が続いた。明くる日の研修会の話よりもこれから作るグループの未来について。熱く熱く語り合った。

その時の大橋先生の感想は・・・
健康学習を知って3年になるが淺田先生と山本さんのパワーのおかげで、この流れが関西でも大きく広まって行くきっかけになる日に自分も居合わせたことが嬉しかった。

そして、15日、研修会当日、雄一先生の研修会を受けて新たに感動する。初めて受講する中村先生は自ら挙手し、ロールプレイに参加する。そして、自分のロープレと雄一先生のロープレを体験し、こう思った。おーっ!みんな見てる!心臓バクバク!めっちゃ緊張する!でもやってみて解った。石川先生のを見て簡単に出来ると思ったこのインタビュー。奥が深い! どうしても医療者側にたった物の見方に引きずり込まれてしまう。患者さんの気持ちはどこにあるんだろう? 医療者に何を求めているんだろう? キーワード って何? 色々な思いが短時間の内に駆け巡り、そして気がつけば終わっていた。雄一先生の見事なロールプレイングを見ているうち、自分もああなりたいと節に願う中村であった。
 
その後に大橋先生も負けじと挙手し、参加する。
そして、大橋先生もその体験をこう語る。
あらためて思ったのは自分に「事象で診るくせ」がついてしまっていること。
それに自分の想いも語らずに相手の想いをひきだせるのか?という素朴な疑問。ギャラリーのまえでロールプレイングする緊張感がそのことをもっとストレートに投げかけてきた。早く終わって席に戻りたい気持ちとこの場で石川先生から何か掴みたいという思いが交錯していた。
 
みんなポジティブになって楽しい一日が過ぎていった。この日を境に4人が激動的に変化を遂げていく事になる。この後に、とうとう『LEC』という会が 誕生するまでに…。

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